ラガード

ラガード(Laggard)とは、イノベーションの普及理論において、新しい製品や技術の採用に最も遅れる層を指します。ラガードは、新しいアイデアや技術に対して懐疑的であり、他の消費者がすでに採用した後にようやく導入する傾向があります。この層は全体の市場の中で約16%を占めるとされており、イノベーションの普及が成熟段階に入るまで採用しないことが多いです。

ラガードの特徴

  1. 懐疑的

    • 新しい技術や製品に対して非常に懐疑的であり、他の人々が採用してから導入を考える。

    • 例:スマートフォンが市場に広く普及してから、フィーチャーフォンをスマートフォンに買い替える。

  2. 保守的

    • 既存の製品や技術に強い愛着を持ち、新しいものに対して抵抗を示す。

    • 例:長年使い慣れた製品やサービスを好む。

  3. コスト意識が高い

    • 新しい技術や製品のコストに敏感であり、価格が下がるまで待つことが多い。

    • 例:価格が大幅に下がるまで新しい技術を導入しない。

  4. 社会的影響の小さいネットワーク

    • 新しいアイデアや技術の情報が遅れて伝わる傾向がある。

    • 例:同じように保守的な人々と繋がっているため、新しい情報が入ってくるのが遅い。

ラガードの戦略的対応

  1. 証拠と実績の提示

    • 新しい技術や製品の成功事例や実績を示すことで、信頼性を高める。

    • 例:多くの顧客が満足しているというデータやレビューを提示する。

  2. コスト削減策の提案

    • ラガードがコストに敏感であるため、価格の引き下げや特別な割引を提供する。

    • 例:特別価格や長期的なコスト削減のメリットを強調する。

  3. 使いやすさの強調

    • 新しい製品や技術がいかに使いやすいかを強調する。

    • 例:シンプルな使用方法や直感的なインターフェースをアピールする。

  4. リスクの軽減

    • ラガードの不安を和らげるために、リスクを最小限にする保証やサポートを提供する。

    • 例:返金保証や24時間のカスタマーサポートを提供する。

  5. 口コミや推薦

    • 同じラガード層からの推薦や口コミを活用して、信頼性を高める。

    • 例:既に新技術を採用しているラガードからのポジティブなフィードバックを共有する。

ラガードのマーケティング例

  1. 家庭用電化製品

    • 新しい技術を採用するまで時間がかかるラガード層には、価格の引き下げや長期保証を提供。

    • 例:エネルギー効率の高い新しい洗濯機を特別価格で提供し、長期保証を付ける。

  2. 金融サービス

    • 新しいオンラインバンキングサービスの導入に対して懐疑的なラガード層には、使いやすさと安全性を強調。

    • 例:簡単な操作方法と強固なセキュリティ機能をアピールする。

  3. 医療技術

    • 新しい医療技術やデバイスに対して抵抗感を持つラガード層には、実績と信頼性を示す。

    • 例:臨床試験の結果や多くの患者が恩恵を受けていることを強調する。

ラガード層へのアプローチは、新しい技術や製品が成熟し、多くのユーザーに受け入れられてから行うのが一般的です。彼らの懐疑心や保守的な性格を理解し、適切な戦略を用いることで、この層を効果的に取り込むことができます。