ユーザビリティテスト
ユーザビリティテスト(Usability Testing) とは、ウェブサイトやアプリケーション、デバイスなどの使いやすさ(ユーザビリティ)を実際の利用者やターゲットユーザーに検証してもらう手法です。開発者やデザイナーの主観だけではなく、実際のユーザーの行動や意見を直接観察・収集し、問題点の発見や改善点の把握を目的として行われます。
ユーザビリティテストの目的
使いにくい部分や課題点の発見
ユーザーがタスクを行う際、どのステップで苦労しているか、分かりにくいUI要素やページ遷移などを把握する。
エラーが頻発したり、意図しない操作をしてしまう原因を突き止める。
ユーザー視点での設計評価
開発者やデザイナー視点では気づきにくい問題を、ユーザーが実際に触れることで洗い出す。
ユーザーの声をもとに、デザインや機能をよりユーザーフレンドリーにする。
ユーザー満足度の向上
スムーズな操作感や分かりやすい画面構成は、ユーザーの満足度やリピート利用に大きく影響する。
テストを通じてUX(ユーザーエクスペリエンス)全体を底上げできる。
開発コストやリスクの削減
早い段階でユーザビリティの問題を発見し修正することで、大幅な作り直しやクレーム対応のリスクを減らせる。
予想外の使い方や利用シーンが判明し、製品やサービスの方向性を再検討するヒントにもなる。
ユーザビリティテストの一般的な手順
目的・シナリオの設定
何を検証したいのか明確にし、ユーザーがテスト中に実行するタスクやシナリオを用意する。
例:ショッピングサイトの場合、「商品検索〜購入完了まで」をタスクに設定するなど。
対象ユーザー(被験者)の選定
ターゲットとなるユーザー層に近い人を複数名ピックアップし、テストに協力してもらう。
年齢層やITリテラシー、職業など、サービスに合った条件を考慮する。
テストの実施
被験者がタスクを実行する様子を観察し、問題点・疑問点・所要時間などを記録する。
口頭で感想や思考を説明してもらう「シンクアラウド法」や、画面録画・アクセス解析ツールなどを組み合わせることも多い。
データの収集・分析
観察メモや録画データをまとめ、ユーザーがつまずいたポイントや改善の余地のあるUI要素を洗い出す。
定量的な指標(完了率、エラー回数、時間など)と定性的な意見(使いやすい点・使いにくい点)を両面で評価する。
改善策の検討・実装
テスト結果から特に優先度の高い問題を特定し、デザインや機能を修正する。
再テストを行い、改善が正しく効果を発揮しているか検証する場合もある。
ユーザビリティテストの手法例
ラボテスト(ユーザビリティラボ)
専用のテストルームを用意し、専門家が観察・インタビューする。
環境をコントロールしやすい一方、ユーザーが普段の使用環境とは異なる状況で行う点に留意。
リモートテスト
オンラインで被験者と接続し、画面共有や遠隔ツールを使ってテストを実施。
地理的な制約を受けにくい反面、通信環境の影響や観察の限界がある。
A/Bテスト
実際に異なるデザインや機能を用意し、どちらがユーザーに好まれるかアクセス解析などで比較する。
定量データによる比較がしやすいが、詳細な行動理由や心理までは把握しづらい。
紙とペンによるプロトタイプテスト
画面レイアウトを紙に描いたものなど、非常に初期段階のプロトタイプを使って手軽に検証する。
大掛かりな開発前に早期フィードバックを得られるメリットがある。
まとめ
ユーザビリティテスト は、サイトやアプリ、サービスなどを実際のユーザー目線で検証し、使いやすさや理解しやすさを向上させるために欠かせないプロセスです。
顧客満足度の向上
開発コスト削減
リスクやクレームの低減
といった多くのメリットが得られるため、開発プロセスの早い段階から継続的に取り入れることが推奨されます。