Tag Managerの使い方|よく使うタグ設定パターン5選
2026年4月16日
著者: 与謝秀作
Google Tag Manager(GTM)を導入したものの、「実際にどう設定すればいいのかわからない」という方は多いのではないでしょうか。本記事では、Tag Managerの基本的な使い方を押さえたうえで、実務で特に使用頻度の高いタグ設定パターンを5つ厳選して紹介します。この5つをマスターすれば、ほとんどのWebマーケティングの計測設定をカバーできるはずです。
Tag Managerの基本の使い方をおさらい
具体的なタグ設定パターンに入る前に、Tag Managerの基本的な使い方を確認しておきましょう。Tag Managerのすべての設定は、「タグ(何を実行するか)」「トリガー(いつ実行するか)」「変数(どの情報を使うか)」の3要素の組み合わせで成り立っています。
タグ設定の基本フローは次のとおりです。まず、Tag Managerの管理画面で「新しいタグを追加」をクリックします。次に、タグタイプ(Googleタグ、Google広告コンバージョントラッキング、カスタムHTMLなど)を選択し、必要な情報を入力します。続いて、トリガーを設定して「どのページで」「どのアクション時に」タグを発火させるかを定義します。設定が完了したら、プレビューモード(Tag Assistant)で動作確認を行い、問題がなければ「公開」ボタンを押して本番環境に反映します。このフローはどのタグを設定する場合でも共通です。
では、実務でよく使われる5つのタグ設定パターンを見ていきましょう。
パターン1:GA4の基本計測(Googleタグ)
Tag Managerを導入したらまず最初に行うのが、GA4の基本計測の設定です。これにより、Webサイトのページビュー、スクロール、離脱クリックなどの基本的なユーザー行動が自動的に計測されるようになります。
設定手順
Tag Managerの管理画面で「タグ」セクションから「新規」をクリックします。タグタイプは「Googleタグ」を選択し、タグIDにはGA4の測定ID(G-XXXXXXX形式)を入力します。トリガーは「All Pages(すべてのページ)」を選択します。タグ名は「Googleタグ - GA4」のようにわかりやすく命名しましょう。保存後、プレビューモードでタグが「Tags Fired」に表示され、GA4のリアルタイムレポートでデータが取得できていることを確認したら公開します。
ポイント
以前は「GA4設定タグ」というタグタイプ名でしたが、2023年9月に「Googleタグ」にリネームされました。過去の解説記事で「GA4設定タグ」と書かれている場合は、現在の「Googleタグ」と同じものを指しています。また、HTMLに直接GA4のタグを設置している場合は、Tag Managerからの配信と二重にならないよう、どちらか一方に統一してください。
パターン2:Google広告コンバージョン計測
Google広告を運用している場合、広告経由のコンバージョン(お問い合わせ完了、購入完了など)を正確に計測することは、広告のROASを把握するうえで不可欠です。Tag Managerを使えば、Google広告のコンバージョンタグをテンプレートで簡単に設定できます。
設定手順
まず、Google広告の管理画面でコンバージョンアクションを作成し、コンバージョンIDとコンバージョンラベルを取得します。次に、Tag Managerの管理画面で新しいタグを追加し、タグタイプは「Google広告のコンバージョントラッキング」を選択します。取得したコンバージョンIDとラベルを入力します。トリガーには、サンクスページのURLで絞り込んだページビュートリガーを設定します。たとえば「一部のページビュー」を選択し、「Page Path」が「/contact/thank-you」「に等しい」と設定すれば、お問い合わせ完了ページでのみコンバージョンが計測されます。
ポイント
コンバージョンタグのトリガーは、計測の正確性を左右する重要な設定です。サンクスページのURLで絞り込む方法が最もシンプルですが、サンクスページがない場合(Ajaxフォームなど)は、フォーム送信トリガーやカスタムイベントトリガーを使う必要があります。また、コンバージョンリンカー(Googleタグ)の設定も忘れずに行いましょう。コンバージョンリンカーは、Google広告のクリックデータ(GCLID)をサイト全体で収集するためのタグで、全ページで発火させる必要があります。パターン1で設定したGoogleタグがこの役割も兼ねているため、Googleタグが正しく設定されていれば追加の対応は不要です。
パターン3:Meta広告ピクセル(カスタムHTML)
Meta広告(Facebook広告・Instagram広告)を運用している場合、Metaピクセルの設置が必要です。Tag ManagerではMetaピクセルのテンプレートがコミュニティテンプレートギャラリーに用意されていますが、カスタムHTMLタグを使って設定する方法も知っておくと便利です。
設定手順
まず、Metaビジネスマネージャー(またはイベントマネージャー)からピクセルIDとベースコードを取得します。Tag Managerで新しいタグを追加し、タグタイプは「カスタムHTML」を選択します。HTML欄に、Metaから取得したピクセルのベースコードを貼り付けます。トリガーは「All Pages(すべてのページ)」を選択して保存します。これでMetaピクセルのPageViewイベントが全ページで発火し、リマーケティングオーディエンスの構築が可能になります。
コンバージョン計測も追加する場合
Meta広告のコンバージョンを計測したい場合は、サンクスページで発火する別のカスタムHTMLタグを作成します。このタグには、Metaの標準イベントコード(fbq関数を使った「Lead」や「Purchase」などのイベント)を記述します。トリガーは、サンクスページのURLで絞り込んだページビュートリガーを設定します。なお、ベースコード(パターン3のタグ)の「タグの順序付け」で、ベースコードが先に発火するよう設定しておくと、計測漏れを防げます。
パターン4:外部リンク・PDFクリックのGA4イベント計測
資料ダウンロード(PDFリンクのクリック)や外部サイトへの遷移など、ページビューだけでは捕捉できないユーザー行動を計測したい場合、GA4イベントタグとクリックトリガーの組み合わせが活用できます。これはTag Managerの簡単な設定だけで実現でき、エンジニアに依頼する必要はありません。
設定手順:PDFクリック計測の例
まず、Tag Managerの「変数」セクションで組み込み変数「Click URL」を有効化します。次に、クリックトリガーを作成します。トリガータイプは「リンクのみ」のクリックを選択し、「一部のリンククリック」として、「Click URL」が「.pdfを含む」という条件を設定します。続いて、GA4イベントタグを作成します。タグタイプは「Googleアナリティクス: GA4イベント」を選択し、測定IDにはGA4のIDを入力します。イベント名は「file_download」などわかりやすい名前をつけ、イベントパラメータに「file_url」として変数「Click URL」を渡します。トリガーには先ほど作成したPDFクリックトリガーを紐づけます。
この設定により、GA4のイベントレポートで「どのPDFがどれくらいダウンロードされたか」を確認できます。同様の設定で、Click URLの条件を「自社ドメインを含まない」に変えれば、外部リンクのクリック計測にも応用できます。
パターン5:フォーム送信のコンバージョン計測(カスタムイベント)
サンクスページがないフォーム(ページ遷移なしで送信完了するタイプ)でコンバージョンを計測する場合、URLベースのトリガーが使えません。その場合は、サイト側からデータレイヤーにイベントを送信し、Tag Managerのカスタムイベントトリガーで受け取る方法が有効です。
設定手順
このパターンはサイト側の実装とTag Manager側の設定の両方が必要です。まず、サイト側(エンジニアへの依頼)で、フォーム送信完了時にdataLayer.pushでカスタムイベントを発火する実装を行います。イベント名は「form_submit」など、わかりやすい名前をつけます。次に、Tag Manager側でカスタムイベントトリガーを作成します。トリガータイプは「カスタムイベント」を選択し、イベント名にはサイト側で設定した名前(form_submit)を入力します。最後に、このトリガーを使ったGA4イベントタグやGoogle広告コンバージョンタグを作成すれば、フォーム送信完了時にコンバージョンが計測されます。
ポイント
カスタムイベント方式は、サイト側の実装が必要なため、エンジニアとの連携が求められます。しかし、最も正確にコンバージョンを計測できる方法でもあります。データレイヤーに追加の変数(購入金額、注文IDなど)を含めることで、ECサイトの売上計測や広告のROAS計算にも活用できます。Tag Managerの「データレイヤー変数」を作成すれば、データレイヤーに格納された値をタグのパラメータとして渡すことができます。
タグ管理を効率化するための運用Tips
5つのパターンを活用するうえで、Tag Managerの運用をより効率的に行うためのTipsも押さえておきましょう。
命名規則を統一する
タグ、トリガー、変数の名前は、「ツール名 - 種別 - 目的」の形式で統一しましょう。たとえばタグは「GA4 - イベント - 資料DL」「Google広告 - CV - お問い合わせ」、トリガーは「クリック - PDFリンク」「ページビュー - サンクスページ」のように命名することで、タグの数が増えても一覧で役割がすぐに把握できます。チームで運用する場合は、命名ルールをドキュメント化して共有しておくとよいでしょう。
プレビューを必ず実行する
どんなに簡単な設定でも、公開前に必ずプレビューモードで動作確認を行う習慣をつけましょう。確認すべきポイントは主に3つです。タグが「Tags Fired」に表示されているか、トリガーの評価結果が「true」になっているか、変数の値が意図したものになっているかです。この3点を確認すれば、ほとんどの設定ミスを未然に防ぐことができます。
権限管理を適切に設定する
Tag Managerには「読み取りのみ」「編集」「承認」「公開」の4段階の権限があります。複数人で運用する場合は、「公開」権限は限られたメンバーのみに付与し、誤った設定がそのまま公開されるリスクを最小限に押さえましょう。特に広告代理店など外部パートナーに権限を付与する際は、「編集」権限までに留め、公開は自社の担当者が確認のうえ行うというフローが推奨されます。
まとめ
本記事では、Tag Manager(GTM)の基本的な使い方と、実務でよく使われる5つのタグ設定パターンを紹介しました。GA4の基本計測(Googleタグ)、Google広告コンバージョン計測、Meta広告ピクセル、クリックイベント計測、カスタムイベントによるフォーム送信計測の5つをマスターすれば、ほとんどのWebマーケティングの計測設定をカバーできます。
Tag Managerの運用では、命名規則の統一、プレビューの習慣化、適切な権限管理が重要です。これらを徹底することで、設定ミスを防ぎながら効率的にタグを管理できます。
Tag Managerで収集した計測データをさらに活用するには、NeX-Rayのようなクロスメディア分析ツールと組み合わせることで、Google広告・Yahoo!広告・Meta広告など複数チャネルの広告効果を一元的に可視化・比較分析できます。正確なタグ設定を基盤に、データドリブンなマーケティングを実現しましょう。


