サードパーティークッキー
サードパーティークッキー（Third-Party Cookies）とは、ユーザーが訪問しているウェブサイトとは異なるドメインから設定されるクッキーのことです。これに対して、訪問しているウェブサイト自身のドメインから設定されるクッキーはファーストパーティークッキー（First-Party Cookies）と呼ばれます。サードパーティークッキーは、特にオンライン広告やユーザーの行動追跡に広く利用されています。
サードパーティークッキーの特徴
設定元のドメインが異なる：
ユーザーが訪問しているウェブサイトとは別のドメインから設定されます。例えば、広告ネットワークやアナリティクスサービスからのクッキーです。
ユーザーの行動追跡：
サードパーティークッキーは、ユーザーが異なるウェブサイト間を移動する際にその行動を追跡するために使用されます。これにより、ユーザーの興味や関心に基づくターゲティング広告が配信されます。
プライバシーの懸念：
ユーザーの行動を広範囲に追跡できるため、プライバシーに関する懸念が高まっています。多くのユーザーがサードパーティークッキーの使用を望んでいません。
サードパーティークッキーの使用例
ターゲティング広告：
広告ネットワークはサードパーティークッキーを利用して、ユーザーの行動データを収集し、パーソナライズされた広告を配信します。これにより、広告の効果が向上します。
リマーケティング：
リマーケティングでは、ユーザーが以前に訪れたウェブサイトや見た商品に基づいて、関連する広告を再び表示します。これもサードパーティークッキーを利用しています。
ソーシャルメディアプラグイン：
ウェブサイトに埋め込まれたソーシャルメディアのシェアボタンやウィジェットは、サードパーティークッキーを使用してユーザーのアクティビティを追跡することがあります。
サードパーティークッキーの規制と対応
近年、サードパーティークッキーに対する規制が強化されています。主な動きとしては次のようなものがあります。
ブラウザの対応：
多くのブラウザは、サードパーティークッキーのデフォルトでのブロックを開始しています。例えば、AppleのSafariブラウザでは「インテリジェントトラッキング防止（ITP）」が導入されており、Google Chromeも2024年までにサードパーティークッキーのサポートを廃止する予定です。
法的規制：
GDPR（一般データ保護規則）やCCPA（カリフォルニア消費者プライバシー法）などのプライバシー規制が強化され、ユーザーの同意なしにサードパーティークッキーを使用することが厳しく制限されています。
サードパーティークッキー廃止への対応策
サードパーティークッキーが廃止される流れの中で、企業やマーケターは新たな手法を模索しています。いくつかの代替手段は次のとおりです。
ファーストパーティーデータの活用：
自社で直接収集したデータ（ファーストパーティーデータ）を活用し、ユーザーに対するパーソナライズドな体験を提供します。メールマーケティングや顧客関係管理（CRM）システムを利用することが一般的です。
コンテクスト広告：
ユーザーの行動データに基づくターゲティングではなく、コンテンツの文脈に基づいて広告を配信します。例えば、スポーツの記事にはスポーツ用品の広告を表示するなどです。
プライバシー重視のトラッキング技術：
プライバシーを重視した新しいトラッキング技術が開発されています。Googleの「Privacy Sandbox」や「FLoC」（Federated Learning of Cohorts）などがその例です。
ユニバーサルIDソリューション：
複数のドメインにわたってユーザーを識別するためのユニバーサルIDを使用することが提案されています。これは、ユーザーの同意を得て、個人情報を保護しながらクロスサイトトラッキングを可能にするものです。
まとめ
サードパーティークッキーは、異なるドメインから設定されるクッキーで、主にユーザーの行動追跡やターゲティング広告に利用されます。しかし、プライバシー保護の観点から規制が強化され、ブラウザの対応も進む中、サードパーティークッキーの使用は縮小されています。企業はファーストパーティーデータの活用、コンテクスト広告、プライバシー重視のトラッキング技術、ユニバーサルIDソリューションなど、代替手段を模索して対応していく必要があります。