マーケティング戦略の立て方|3C・STPから90日計画へ
2026年3月29日
著者: 与謝秀作
マーケティング戦略は、誰のどの課題を、どんな価値と提供方法で解決し、事業目標へつなげるかを決めるものです。広告やSNSの種類を選ぶ前に、対象顧客、選ばれる理由、使える資源、成果の条件をそろえます。
進め方は、3Cで現状を整理し、STPで対象と位置づけを決め、施策とKPIをつなぎ、90日で検証する流れです。以下は架空の業務ソフト会社「A社」の例であり、NeX-Rayの機能・実績を示すものではありません。
1. 3Cで事実と仮説を分ける
A社は、製造業の経理部門に月次集計を支援するソフトを提供すると仮定します。分析は資料を埋める作業ではなく、どこを調べれば判断できるかを明らかにする作業です。
視点 | A社の仮説・条件 | 確認する証拠 |
|---|---|---|
Customer:顧客 | 従業員20〜100人の企業で表計算の集計負担がある | 担当者への聞き取り、実際の作業手順 |
Competitor:競合 | 競合製品だけでなく、表計算の継続や外注とも比較される | 商談の比較対象、失注理由 |
Company:自社 | 営業2人で、導入支援の対応量に限りがある | 担当工数、提供できる機能と支援範囲 |
「顧客は自動化したいはず」と決めつけず、締め日、確認作業、導入の負担、予算決裁を調べます。分からないことは仮説と書き、確認担当と期限を付けます。
2. STPで対象と選ばれ方を絞る
Segmentationでは業種、企業規模、業務課題、導入条件などで市場を分けます。Targetingでは自社が対応でき、課題が具体的な集団を選びます。Positioningでは、代替手段と比べてどんな理由で選ばれたいかを決めます。
A社の仮の対象は「毎月の集計に課題があり、既存の表計算を段階的に置き換えたい小規模製造業」です。位置づけは「必要な集計から小さく始められ、導入手順が分かる支援付きソフト」とします。大規模な全社刷新は当面の対象から外し、少人数の営業が対応できる範囲へ絞ります。
3. 4Pで戦略を実際の提案にする
要素 | A社の設計例 | 検証する点 |
|---|---|---|
Product | 月次集計の対象業務を絞った導入支援 | 本当に負担の大きい工程を解決できるか |
Price | 対応範囲を明示した見積もり | 顧客価値、提供原価、継続費の整合 |
Place | オンライン相談から個別デモへ | 顧客が相談しやすい方法か |
Promotion | 課題別記事、チェックリスト、具体的な検索広告 | 想定企業の相談につながるか |
施策ごとに別の約束をせず、記事、広告、LP、営業説明で価値と対象を一致させます。広告に書いた支援を営業や製品側が提供できるかも確認します。
4. 目標からKPIを逆算する
架空の90日目標を「契約10件、1契約当たりの売上100万円、計1,000万円」とします。利益や継続売上とは分けた例です。商談からの受注率25%、Leadから商談への移行率20%を仮定すると、必要商談は40件、必要Leadは200件です。
10件÷25%=40商談、40商談÷20%=200Leadとなります。実績がない段階では率は仮説です。90日以内に受注できる商談期間か、営業2人で対応できる件数かを確認し、無理なら目標・対象・提供方法を見直します。
5. 90日計画に落とす
期間 | 主な作業 | 完了物・判断 |
|---|---|---|
1〜30日 | 顧客課題の確認、指標定義、訴求と計測の整備 | 戦略シート、相談導線、基準値 |
31〜60日 | 1つの対象に記事・資料・広告を試す | Leadの質、商談化の条件、営業の反応 |
61〜90日 | 有望な組み合わせを改善し、受注を追う | 継続・修正・停止と次期予算 |
施策数を増やす前に、担当者、利用できる時間、支出上限、制作能力を割り当てます。Lead数が足りないからと対象を無制限に広げると、営業負担だけが増える可能性があります。
記入式の戦略シート
- 対象顧客:[企業・担当・状況]
- 解決する課題と根拠:[観察・聞き取り・既存データ]
- 代替手段と選ばれる理由:[比較対象・提供できる価値]
- 今回扱わない対象・施策:[資源を集中するための範囲]
- 目標と期限:[売上・契約・粗利益などの定義]
- 必要行動とKPI:[Lead・商談・受注の数と率]
- 担当・予算・工数:[責任者・上限・実施能力]
- 見直し条件:[いつ、何を見て、誰が判断するか]
見直し条件を先に決める
計測不備があるときは結論を保留して修正します。対象外の相談が続くなら訴求と配信対象を見直し、商談はあるが受注しないなら価格、提供範囲、比較理由を調べます。予算上限や対応能力を超える場合は配分を調整します。少数の結果だけで成功・失敗を断定せず、仮説と確認できた事実を更新していきましょう。
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